サマリ
6月28日の生成AIニュースでは、国内ではGoogleがバーチャル試着アプリ「Doppl」を公開し、ファッションECでのAI活用が加速。MrBeast発ツールの著作権懸念による中止や、Microsoft 365機能悪用のフィッシング被害、子どもの宿題支援に伴う思考力低下懸念など、安全性・倫理面の課題も浮上した。加えて“量子AI”研究の進展や飲食業界向けAIチーム発足といった産業横断的取り組みも注目を集めた。一方海外では、米国務省高官がDeepSeekの中国軍関与疑惑を暴露し、米議員が中国製AI使用禁止法案を提出。金融界ではGoldman Sachsが全社AIアシスタントを導入し、AWSの生成AI責任者退社やMetaの著作権訴訟勝訴、MicrosoftとOpenAIの契約条項対立など、技術導入とガバナンス課題の両面が鮮明となり、生成AIの社会的影響と規制強化の必要性を改めて実感した。
国内の生成AIニュース
Google、バーチャルAI試着アプリ「Doppl」をiOS/Androidで公開
Googleは6月28日、バーチャルAI試着アプリ「Doppl」をiOSおよびAndroid向けに公開した。本アプリはユーザーの姿を3Dスキャンし、服の着用イメージをリアルタイム生成。ECサイトや店舗での顧客体験を強化し、サイズ選択やコーディネート提案もAIで行える。
公開した「AIサムネイルツール」の提供取りやめ
インフルエンサーMrBeastが提供した生成AIサムネイル作成ツールは、スクレイピングや著作権侵害の懸念から、公開直後の6月28日に利用が停止された。無断で他者のコンテンツをサンプリングしている可能性が指摘され、公式がツールを取り下げ、再開見送りを発表した。
Microsoft 365の「Direct Send」機能を悪用した巧妙なフィッシング攻撃
Microsoft 365のメール送信機能「Direct Send」が悪用され、正規ドメインを装ったフィッシング攻撃が発生。攻撃者はWormGPTを用い、社内外へ偽メールを大量送信。セキュリティ専門家は、AI生成メッセージの検知困難性を警告し、対策強化を呼びかけている。
生成AIに安易に答えを求める子ども 危ぶまれる考える力どう守る?
小学生が宿題の答えを生成AIに頼るケースが増加。専門家は「自ら思考する力の低下」を指摘し、学校現場での教育方針見直しやプロンプト教育の導入を提案。家庭でのAI使用ルール設定の重要性も強調されている。
量子コンピュータの商用化はすぐそこ? “量子AI”で見えてきた次世代技術
生成AIと量子コンピュータを組み合わせた“量子AI”の研究成果が発表され、従来数分を要した計算が秒単位に短縮可能と判明。商用化に向けたハードウェア開発とモデル最適化の両面でブレークスルーが起きており、応用範囲拡大に期待が高まっている。
ビズコミュニケーションズが飲食業界専門の生成AIチームを発足
株式会社ビズコミュニケーションズは6月28日、飲食業界に特化した生成AI専門チームを発足。飲食ブランドのストーリーやメニュー開発、PR戦略にAI生成技術を導入し、集客や広報効率化を図ることで、業界全体のデジタル化を推進する。
海外の生成AIニュース
DeepSeek、米国務省高官が中国軍関与を暴露
米国務省の高官が、中国スタートアップDeepSeekが軍・情報機関向けにAI技術を提供し、制裁対象のNvidia H100チップを東南アジアのシェルカンパニー経由で調達していると暴露。DeepSeekは否定するも、米当局は調査を継続する構え。
Goldman Sachs、全社向け生成AIアシスタントを導入
Goldman Sachsは全社向け生成AIアシスタントを正式導入。社内メモによれば、約1万人の従業員が既に使用を開始しており、ドキュメント作成やデータ分析を支援し、業務効率を大幅に向上させる狙い。
AWS生成AI責任者が退社、人材獲得競争激化で注目
AWSで生成AI開発を統括していた副社長Vasi Philomin氏が6月26日付で退社。他社への転職とみられ、技術人材獲得競争の激化が改めて浮き彫りに。Amazon Bedrockなどのロードマップへの影響も懸念される。
Meta、著作権訴訟で勝訴—「フェアユース」認定
米国カリフォルニア州地裁は著作権者らがMetaに対して提起した生成AI訴訟で、AIによる著作物利用は「フェアユース」に該当すると判断。生成AIの学習用データ収集に法的裏付けが与えられ、業界の動向に影響を及ぼす可能性。
MicrosoftとOpenAI、AGI契約条項を巡り対立
MicrosoftとOpenAIが人工汎用AI(AGI)実現後の共同開発権保持を巡る契約条項について対立。Microsoftは条項削除を求めるが、OpenAIは拒否を継続。両社の戦略的提携の行方が注目される。
米議員、中国製AIモデル禁止法案を提出
米国議会で、中国や北朝鮮、ロシア製AIモデルを政府機関で使用禁止とする「No Adversarial AI Act」が提案。DeepSeekを念頭に、連邦機関のAI導入基準に安全保障評価を加えるべきとし、法的議論を呼ぶ。