はじめに
2024年6月現在のOpenAI社について簡単に纏めてみました。
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企業分析(OpenAI)
概要
2015年12月にイーロン・マスク、サム・アルトマン、グレッグ・ブロックマンらが共同創設しました。創立当初は非営利団体として「人工知能を人類全体に利益をもたらす形で発展させる」ことを目的としていました。その後、2018年11月にGPT-1、2019年2月にGPT-2を発表し、高い自然言語生成能力で注目を集めました。
しかし更なるAI研究をすすめるためには莫大な資金が必要となったため、2019年に営利部門を新設。資金調達をしやすくすることで研究開発を加速させることができるようになりました。その後、1750億のパラメータを有するGPT-3を発表、そして11月にChat-GPT(GPT-3.5)を公開。対話型の言語モデルとして世界中に大きな反響を呼びました。
その後、2023年3月にGPT-4、2024年2月にSora、2024年5月にGPT-4oが発表されました。
主なサービスと主要人物
以下に主なサービスを記載。*は限定で無料のものを示す。
発表日 | 公開日 | 利用料 | パラメータ数 | 主な特徴 | |
GPT-3 | 2020/5 | 2020/6 APIのみ | 有料 | 1,750億 | 大規模言語モデル、テキスト生成 |
GPT-3.5 | – | 2022/11 ChatGPT | 無料 | – | GPT-3の改良版、対話型AI |
GPT-4 | 2023/3 | 2023/3 | 有料 | – | マルチモーダル対応、より高精度 |
GPT-4o | 2024/5 | 2024/5 | 無料* | – | マルチモーダル対応、より高効率 |
DALL-E3 | 2023/10 | 2023/10 | 有料 | – | 高解像度画像生成、テキスト忠実度向上 |
Sora | 2024/2 | – | 未公開 | – | 動画生成AI、画像/動画入力対応 |
イベント
特筆すべきOpenAIに関するイベントを記載。私見や不確定事項も多少含まれますので、参考程度に読んでください。
非営利団体から営利団体へ。Microsoftとの連携
人工知能(AI)研究開発の最前線を走るOpenAIは、2015年にイーロン・マスク氏らによって非営利団体として設立されました。しかし、AI開発には莫大な資金が必要であり、2019年には研究資金調達のため、営利子会社「OpenAI LP」を設立。この転換は、AI開発を加速させるための戦略的な決断でした。
OpenAIは、設立当初からMicrosoftとの関係を深めてきました。2019年の営利子会社設立時には、Microsoftから10億ドルの出資を受け、2023年には数十億ドル規模の追加投資も発表されています。この連携により、OpenAIはMicrosoft Azureの計算資源を活用できるようになり、大規模なAIモデルの開発が可能となりました。
Microsoftとの連携は、OpenAIの研究開発を加速させるだけでなく、AI技術の社会実装にも貢献しています。例えば、OpenAIが開発した自然言語処理モデル「GPTシリーズ」は、Microsoftの検索エンジン「Bing」やクラウドサービス「Azure OpenAI Service」に組み込まれ、幅広いユーザーに利用されています。
OpenAIの非営利から営利への転換、そしてMicrosoftとの連携は、AI開発の加速と社会実装を両立させるための重要なステップでした。しかし、一部からは営利化によってOpenAIの理念が損なわれるのではないかという懸念も出ています。OpenAIは、今後もAI技術を人類全体に利益をもたらす形で発展させていくことができるのか、その動向が注目されます。
[参考] イーロン・マスクの訴訟問題
イーロン・マスク氏は、OpenAIが非営利の理念から逸脱し、営利企業Microsoftとの連携を深めているとして、OpenAIとそのCEOを相手取り訴訟を起こしました。マスク氏は、OpenAIが人類全体の利益のためにAIを開発するという当初の目標を裏切ったと主張しました。しかし、2024年6月、マスク氏は訴訟を取り下げました。取り下げの理由は現時点で明らかにされていません。
ChatGPT公開で世界を席巻。AIブームの火付け役
2023年11月、OpenAIが対話型AI「ChatGPT」を公開し、世界中でAIブームが巻き起こりました。ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデルGPTシリーズを基盤とし、人間のような自然な会話ができるAIチャットボットです。その高度な言語理解能力と応答能力は、多くの人々に驚きと感動を与えました。
公開直後からChatGPTは爆発的な人気を集め、利用者はわずか数日で100万人を突破。その後も利用者は増え続け、世界中でAIへの関心が急速に高まりました。ChatGPTは、質問応答、文章生成、翻訳、要約など、多岐にわたるタスクに対応できることから、ビジネス、教育、エンターテインメントなど、様々な分野での活用が期待されています。
[参考] 日本人のChat-GPT利用状況
2023年6月時点で認知率は68.8%、利用率は15.4%程度(NRI調べ)。単純計算で6人に1人以下の利用率ということが分かりました。一方、他国と比較してみると認知度は米国83%、英国89%、インド95%と最も低いことが判明。他国のAI普及は日本と比べて浸透しているということが数値が見て取れます。
OpenAIの安全性軽視?主要メンバー相次ぐ離脱で課題浮き彫り
2024年5月、OpenAIの「スーパーアライメントチーム」が解散したことが報じられた。 このチームは、AIモデルが人間の価値観に沿うよう制御する重要な役割を担っていたが、わずか10ヶ月で解体に追い込まれた。チームの中心人物だったイリヤ・サツキバー氏とヤン・ライク氏が退社し、ライク氏はOpenAIがAIの安全性を軽視していると批判した。 サツキバー氏も2024年5月にOpenAIを退社している。さらに6月には、OpenAIの現職員や元社員らが公開書簡を発表し、「重大なリスクを伴うAIを適切な監視なく開発している」と警告した。 従業員の発言を封じ込める動きにも言及し、政府の監督を求めている。
OpenAIの安全性をめぐる問題では、2021年にAnthropicを共同設立したダリオ・アモデイ氏とその妹のダニエラ・アモデイ氏の動きも注目された。アモデイ兄妹は、OpenAIに在籍中から「無害なAI」の実現を目指していた。 2023年に公開したLLM「Claude」は、倫理的判断基準を組み込んだ「憲法AI」と呼ばれ、OpenAIへの対抗心があるとみられている。OpenAIとAnthropicの対立は、AIの安全性をめぐる両社の路線の違いを象徴するものとなっている。このように、OpenAIでは主要メンバーの相次ぐ離脱とともに、安全性への配慮が不十分との批判が高まっている。AIの急速な発展に伴い、その安全性確保が重要な課題となっていることが改めて浮き彫りになった。
[参考] サム・アルトマンCEO解任&復活劇
2023年11月、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、一時的に解任されました。原因は、OpenAIの将来的な方向性、特にAIアラインメント(AIの目標を人間の価値観に合わせる)に関する意見の対立でした。一部の従業員や共同創業者らは、アルトマン氏のAI開発のスピードを重視する姿勢が、安全性や倫理面への配慮を欠いていると懸念していました。しかし、解任発表からわずか数日後、アルトマン氏はCEOに復帰しました。この背景には、従業員や投資家からの強い支持、そしてアルトマン氏自身のアラインメントへのコミットメントを再確認したことが挙げられます。
更新があれば不定期でUpdateしていきます。
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